室町時代、江州堅田(滋賀県大津市)の武士・堅田又五郎が日暮れ時伊吹山の山中を歩いていた時突然一緒に歩いていた出入りの大工が又五郎に襲いかかってきた。又五郎は枯市の小太刀を抜いて素早く斬りかかった。
大工は手に持っていた鉋で又五郎の振るう太刀を素早く受け止める。すると鉋は真二つに斬られ、大工もろともすーと消えていった。この出来事から、又五郎の小太刀には、「鉋切」の異名が付けられたという。
鉋切は備前長船派の刀匠・長光作。その後織田信長、丹羽長秀らを経て将軍家に渡り、現在は重要美術品に認定され、徳川美術館が所蔵している。