今の協会はいわばプロモーターとオーナーが一緒ということです。鑑定部は独立する。そして鑑定に専念する。審査員も自分が得意のところだけを鑑定し、わからぬところは合議性制にすればいい。認定書問題は外部の人達や反主流派だけでなく協会の内部からも批判が強まっているようである。ともあれ、この認定書問題は、様々な形でこれからの刀剣界に波紋を投げ続けるだろう。
正真と傑作を第一に・・・位列にとらわれぬ保存会の鑑定日本美術刀剣保存協会の認定書とは別に日本刀剣保存会にも鑑定書がある。二十九年に保存会を復活したのですが、はじめは鑑定書など出す考えがなかったが、しかし日本美術刀剣保存協会の認定書に対する批判が大きくなり、会員の間にもちゃんとしたものを出そうということになり、三十年から出すように決めました。審査の基準は正真ということがもちろん第一ですが、二流工、三流工の刀でも優秀なものはどしどし取り上げていきます。その辺が協会の重刀のように高位高名中心とは違ったところです。この鑑定書は、高名ものならば少し疲れていても―という協会風なやり方ではありませんから、例えば清麿持ってきても七十点の清麿、六十点の清麿ということになってしまいます。とにかくこの会の鑑定書は、金銭的な利益という面からは、協会の○特や重刀よりうんと低く見られています。しかし、こういうやり方をやっていると回の財政は苦しいんですが、金銭で愛刀家や業者と癒着してはいけないと思い、がまんしながら会員の会費だけでやっているんです。そのかわり鑑定書だけは厳しすぎるぐらい厳しくして、後世の人に笑われないようにと考えています。鑑定書は日本刀剣保存会だけではなく、伝統を誇る本阿弥家のうち本阿弥日州氏も古式にのっとった折紙を発行している。