蝉丸

山形県最上地方の亀割山の南麓、小国川に沿って静かな佇まいの温泉郷「瀬見温泉」がある。義経が頼朝に追われて、陸奥国(岩手県)平泉を目指していた時、義経の奥方(静御前)が急に産気づいた。弁慶が産湯を探して、川辺に岩の割れ目をみつけ、持っていた薙刀「蝉丸」で岩を砕いた。すると中から温泉が湧きでてきたという。これが瀬見温泉の発祥で、弁慶の薙刀「蝉丸」に由来して長付けられたと言われる。瀬見温泉の近くには、弁慶が放り投げた岩や松の木、弁慶が座った岩など、多くの遺跡が残っている。

日本刀の焼き入れ

刀の世界とは関係のない人間が「焼きを入れる」といえば、制裁や拷問を加えるといった意味で使われ、何とも物騎な話だが、もともとは、ご推察のとおり、作刀工程の一つ、「焼き入れ」からきた言葉である。 焼き入れをすることで刃が硬くなるばかりでなく、日本刀鑑賞の重要ポイントで もある「刃文」があらわれ、「反り」が生まれる。まさに。刀に命を吹き込む瞬間 である。それと同時に、失敗すれば「焼き割れ」といって刀身にひび割れが入るこ ともあり、そうなると命が吹き込まれるどころか、これまでの思い入れと共に刀身 はオシャカとなる。 かしわで この神聖な焼き入れの日には、刀匠は神棚を清めて柏手をうち、成功を祈るのだ。 ひのき また、「焼き船」と呼ばれる、焼いた刀身を水(ぬるま湯)で冷やすための槍の水槽 は、縁起をかついで。割れない。数字「七尺」であつらえる刀匠も多い。 焼き入れは夜、すべての明かりを消して行われる。焼かれた刀身が赤くなるその微 妙な火加減を見落とさないためだ。全体に火が通り、ここぞという瞬間に火から出 して、焼き船で急冷する。このぬるま湯の温度が非常に重要で、焼き割れの原因と いっしそうでん なったり刃の硬さにも大きく影響することから、一子相伝の秘密ともされている。 師匠の目を盗んで湯船に手を入れ、その適温を盗んだ弟子が、師匠に腕を切り落と されたという話も伝えられている。

備前長船長光の日本刀

備前長光派を代表する鎌倉時代後期の刀匠「大般若長光」「物干し竿」の作者であり六振りの作品が国宝に指定されている。長光作といわれるが、現存しない詳細不明の太刀がある。「小豆長光」と呼ばれ、上杉謙信が所有していた。川中島の戦いで、武田信玄に単騎で切りこんだときに持っていたのが、この小豆長光とも言われている。

日本刀の一流研ぎ師

刀を磨いて人の道を磨く

「金象嵌(きんぞうがん)銘城和泉守所持 正宗磨上本阿(花押)・・・これは、ある日本刀の茎(なかご)に切られた銘であるが、「この日本刀は、刀剣を鑑定する本阿弥家のものによって「政宗」と鑑定されたものだ。ということがわかる。本阿弥家は日本刀の鑑定書「折紙」を発行する事でも知られ、代々、刀剣の「研ぎ」「拭い」「鑑定」の三業を家業としてきた。

 その本阿弥家の一人で、書や陶芸に精通し、芸術家としてマルチな才能を発揮した光悦についてはこんな話も伝えられている。「日本の刀は人を斬る為に鍛えられているのではない。御代を鎮め、世を護りたまわんがために、悪を払い、魔を追うところの降魔の剣であり、また人の道を研き、人の上に立つ者が自らを誡め、自らを持するために、腰に帯びる侍の魂である。というのがその理由だそうだ。

西洋の刀匠たちと日本刀

<キース・オースチン延平>

長野県坂城町に工房を持つ、人間国宝・宮入行平に弟子入りし、修業に励んだアメリカ人の刀匠キースオースチン延平は、正式に作刀認可を受けた唯一の外国人だった。

1965年から、著名な刀匠の下で五年間熱心に修行し、文化庁の作刀承認を受けて、刀匠になる。師匠の一字を取って「延平」と名乗った。

<テールデニー>・・・日本びいきのアメリカ人

明治から昭和にかけて活躍した、宮内省刀工の一人・桜井正次の弟子として、刀鍛冶を学んだアメリカ人がいる。名前はジョージ・チルデン。刀匠名として作刀に切った銘は「テールデニー」。

天照大御神の刺青を腕にいれ、正月には羽織袴を着て伊勢神宮を参拝するほどの、日本好きだったという。

日本刀一問一答

問い・・・日本刀と銃弾、どちらが強い・・・

 答え・・・テレビ番組で行った実験。刃先をこちらかわに向けて立てた日本刀に向かって発砲した。すると刃先に当たった銃弾は真っ二つに。銃弾は、鉛や銅などの軟らかい金属を主成分としており日本刀の強さは当然であろう。

 問い・・・貧しい武氏は、どんな刀を持っていた。

 答え・・・江戸時代下級武士でも代々受け継がれてきた名刀を持つものはいた。新しいものを買うとなると、古物商で安価な質流れの刀を買ったり、それさえ買えない貧しい武士は、刀を売り払い、代りに竹を削り刀のように見せかけた「竹光」を持っていた。

 問い・・・左利きの武士は右腰に日本刀を差していたのか

 答え・・・武士の作法を考えると、左腰に差すのが常識でいくら左利きでも右腰に差すとは考えにくい。左利きであっても、子供のころから矯正されていたと思われる。

 問い・・・白いポンポンを刃に当てているのはなにをしている。

 答え・・・ポンポンとしながら、古い油をとっている。あのポンポンの中には、「打ち物」と呼ばれる砥石の粉が入っている。その粉を刀身に軽く付け、紙で拭く事で、刀身に塗ってある古い油が取り除かれ、さらに、刀身を美しく仕上げる働きもある。